薬局は患者と病院をつなぐ卸業者ではない
昨今のコロナウイルスの流行により4010通知が出され、電話診療にて処方せんが発行できるようになった。
患者さんも薬を直接薬局に取りに来る方、家族が取りに来る方、郵送を希望する方など様々である。
これらの対応をする中で、患者側にとって薬局のイメージというものが以前より明確になってきたように感じる。
このような対応もできる薬局に対して感謝を感じてくれている方もいれば、電話での処方内容の確認を億劫に感じる方もいるようだ(あくまでも個人的な感覚)
薬局としても口頭だけ処方内容の確認になるので対面での投薬以上に確認する点が増える。
患者さん側もいつもの薬局での服薬指導より長く感じる(実際長い)ことや住所の再確認、郵送日時などの確認事項があることで長電話に対してあまり積極的でない方もちらほらいるように感じる
いつも「大丈夫」しか言わない患者さんも薬が届かないと困るのでしっかり聞いてはくれるがどこかそっけない
そういう点からある一定の患者さんからは薬局というものが病院から薬を依頼して患者に届ける卸業者のようなものとしか思われていないのではないかと再認識した。
今はそういった患者さんとのコミュニケーションをとる手段が少ないため薬局のイメージをよくするチャンスはすくないが、コロナ終息後患者さんと薬局のイメージを変える対応を考えないといけない。
漢方薬の素朴な疑問について①
食前(食間)である必要あるの?
「薬草エキスは独特の苦味やにおいをもつので食べ物と一緒にお腹の中にいれると悪心を引き起こす」
「空腹時の方が吸収が良いので、作用が穏やかな漢方薬には適している」
「空腹時は胃の中が酸性となっており、毒性のあるアルカロイドの吸収が抑えられる」
「漢方薬は食が起源が同じであるので、食後に服用すると相互作用を引き起こす」
「漢方薬には配糖体が含まれ、腸内細菌で代謝され吸収されるので、空腹時に服用したほうが腸内細菌のの代謝を受けやすく吸収されやすくなる」
などの理由がまことしやかに語らられいる。
これらの理由はあくまでも特定の漢方に対しての理由であり、漢方製剤全てを食前(食間)に投与する理由とはなっていない。
「傷寒論」「金匱要略」には食事との関係での服用タイミングに関する記述はわずかだが、12世紀の「和剤局方」では半数以上の処方で食事関係の指示があり、その半数以上が空腹時投与である。しかし、「和剤局方」において食後投与の指示のあるものは約30%であり、これで全てを説明はできない。
現在のところ漢方製剤が食前(食間)になったことは不明。
「漢方製剤」食前(食間)投与になった理由として、承認時には煎じ薬が食前(食間)で使用されていたという理由です。
カリウム製剤について
カリウム製剤の処方をみて思う。
この量でいいのか?この薬でいいのか?
スローケーが中止になってから薬が変更になることが多いこの頃、薬局では塩化カリウム散に変更になっているが、カリウム製剤はやっぱり怖い。
切り替えに関しては、この記事をみればだいたいわかる
ただ、患者さんが見せてくれた採血結果のK値から適正なカリウム製剤の処方量を評価するにはどうしたらいいのか?
MSDのマニュアルの記載
治療
多くの経口カリウム製剤が市販されている。高用量の単回投与は消化管刺激およびときに出血を引き起こす恐れがあるため,通常は分割投与により欠乏を補充する。塩化カリウム溶液を経口投与すると1~2時間以内に濃度が上昇するが,苦味があり,25~50mEqを上回る用量では特に忍容性が低い。ワックスマトリックス型の塩化カリウム製剤は安全で忍容性に優れる。塩化カリウムのマイクロカプセル剤では,消化管出血がさらに少ないようである。これらの製剤のいくつかは,1カプセルに8mEqまたは10mEqを含有する。血清カリウムの1mEq/Lの低下は体内の総カリウム貯蔵量の約200~400mEqの不足と相関するため,全体の不足量が推定でき,1日当たり20~80mEqを数日かけて補充できる。
低カリウム血症 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
つまり、K値が3.0mEq/Lの患者さんが来た場合には、約100~200mEq/Lの不足
塩化カリウム 2g 分2朝夕食後 なら 2週間くらいの処方で4.0mEq/L付近になることになる。
ただ腎機能を考える複雑になる。添付文書には腎機能に応じた用量の記載はない。
乏尿・無尿,高度の腎機能障害には禁忌.ただしCAPDなどで低カリウム血症があれば投与可能.消化管通過障害のある患者では塩化カリウムの局所的な粘膜刺激作用により潰瘍,狭窄,穿孔をきたすことがあるため禁忌
スローケー添付文書より
製剤を切り替えるときにmEq/Lをそろえることも重要だが、初回のときの量は問題ないのか、添付文書上問題なくても患者の体調にどう影響するのか考えるべきだ。